文档介绍:<大蔵省財政金融研究所「フィナンシャル・レビュー」March-1996>世代会計からみた世代別の受益と負担麻生良文1・吉田浩2世代会計は世代別の生涯の純負担を明らかにしようとするものである。世代会計の推計の目的は二つある。第一に,世代会計を明らかにすることで,ある政策の世代間の公平性の検討ができる。第二に,世代会計の情報によってはじめて,ある政策が消費や貯蓄に与える効果をライフサイクル仮説と整合的に分析することができる。なお,この第二の点に関してはこの論文では扱わず,将来の課題としたい。世代会計の基本的なアイデアは,現在の支出構造を所与としたとき,将来世代はどれくらいの負担が必要かを政府の(異時点間の)予算制約式から推計しようというものである。この研究では,まず1992年を基準年とし,基準年の政府の支出と収入を「家計調査」等から年齢階級別に世帯単位で分解した。次に一定の賃金成長率と利子率の想定のもとで現在世代の生涯の純負担を推計する。また,1992年の年齢階級別の各世帯の受益構造,将来の人口構造,1992年時点の政府資産の情報と政府の予算制約式を用いて将来世代の負担を推計する。この結果は次頁の表の「現状」にまとめられている。なお,この計算は現在から死亡時までの各世代の純負担を計算をしたものなので,表の数字は年齢の高い世代が優遇されていることを意味するものではない。表で比較可能なのは,将来世代と(労働を開始して間もない)20歳代である。表の結果によれば将来世代は現在20歳の世代に比べ生涯で50%も純負担が大きいことがわかる。次に,将来の財政改革シミュレーションを行った。1つは直間比率を現行の6:4から4:6に変更するケースである(家計部門の直接税の減税を間接税の増税でまかなうとした)。表の「直間変更」がその結果である。それによれば直間比率の変更は世代別の負担をほとんど変化させない。これは,法人税の2分の1が製品価格に転嫁されるとした推計の前提のためである。第2に,年金給付を直ちに25%引き下げるケースのシミュレーションも行った。これが表の「25%削減」である。このケースでも将来世代は現在20歳の世代に比べ純負担は1,000万円以上大きい。第3に将来世代と現在20歳の世代の負担が等しくなるように年金給付の削減を行うとどうなるかを計算した。下の表には報告していないが,このためには年金給付を直ちに58%あまり削減する必要があるとの計算結果が得られた。1 新潟大学経済学部助教授2 明海大学経済学部専任講師-1-世代会計からみた世代別の受益と負担表世代会計の推計結果Ⅰ.はじめにこの研究の目的は,日本における世代別会計を政府支出とする方法である。これに対し,もを提示することである。世代別会計とは,現在う一つの扱い方は,公的年金の保険料は家計がから将来にかけての政府の収入と支出を世代別政府に対して行った貸付で,給付は政府から家に分解して,生涯を通じた純負担の割引価値を計への返済(保険数理的にフェアーな部分)プ世代別に明らかにしょうとするものである。こラス移転支出(あるいは税金)とする方法であのような分析を通じて,世代間の負担の公平性る。家計からみれば,どちらの定義であろうとの検討だけでなく,財政政策が消費や貯蓄に与も,政府への支払と受取に変化はない。したえる影響についても検討することができる。がって,世代別会計による方法では同一の結果従来のマクロ経済学では,ある時点の財政赤が得られる。そして,もちろん,保険料,給付字の大きさをもとにして,財政政策の効果を論をどう呼ぶかの変更によって家計行動に変化はじてきた。しかし,このような方法は,ライフ生じない。ところが,どちらの定義をとるかにサイクル仮説と整合的でない。ライフサイクルよって,財政赤字の水準およびその時間経路は仮説によれば,現在の消費は,現在から将来に大きく変化する。日本の場合では,前者の定義かけての所得の経路(および現在の資産水準),に基づいて年金の保険料負担と給付を処理する残りの生涯の長さ等に依存する。したがって,と,現在のところ公的年金は財政赤字の縮小にライフサイクル仮説と整合的に財政政策の効果貢献するが,将来においては増大に寄与する。を分析するためには,集計された数字ではな後者の定義を用いると,現時点で赤字が増大く,世代別の情報が必要である。また,財政赤し,将来時点ではやや縮小する3。字は,収入と支出の恣意的な定義に依存してい負担の公平性についても,世代別会計は有用る。この意味で,信頼性にかける指標でもある。な情報を提供してくれる。この点からも財政赤Auerbach,GokhaleandKotlikoff(1991)は,字は不十分な指標でしかない。負担の公平性の公的年金の保険料と給付